地域医療講演会

「これからの歯科医療と地域包括ケアシステム」という演題で歯科医師会主催の講演会がありました。講師は前厚生労働省保険局長の唐澤先生です。
今後、確実に訪れる人口構成比の変化に対応しながら如何に持続可能な医療福祉システムを作り上げてゆくかを苦心して設計されているとのことでした。年金制度においても90年代は5人で1人を支えてきましたが、今後は2人で1人、1.2人で1人を支えてゆくというのはよく知られている試算です。 目標としては「地域包括ケアシステム」の構築で、「誰もが住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるように、医療、介護、介護予防、日常生活の支援が包括的に確保される体制」を目指しています。つまり医療、介護、地域の連携が必要になってくるということです。
日本では、医療施設は7~8割が民間運営なので、診療報酬の配分を通してシステムの移行を促してゆくことになります。逆に、関係者は公務員でないためにこの方法でしか体制の構築が困難だと思われます。 このケアシステム作りに尽力されている講師の先生によりますと、まず医療と介護の協力体制作りが非常に困難であるとのことでした。最初の一歩からつまづいているようです。医療は、急性期対応が主で疾病の治癒が目的となりますのでなかなか患者の生活の支援まで考えが及ばないし現在の医療システム(診療報酬、病床数、看護を含めた人員の質、数含めて)ではそのようにならざるを得ないようです。ただし、今後はケアシステム構築への流れはより協力体制が整いやすくなるよう変化してくるはずです。実際に先進的に協力体制を築いておられる地域もでてきているようです。
今回の講演会に参加して、日本の医療システムの展望をつかむことができました。私たち歯科医療関係者がどのような形で地域包括ケアシステムに参画してゆくかを考えるよい機会となりました。

2016年06月25日